「通訳者」と「バイリンガル司会」は同じではありません!
- Sibthorpe Noriko
- 5月18日
- 読了時間: 3分
更新日:5月28日

「通訳」と「バイリンガル司会」は同じではありません!
〜その違いと、依頼時に知っておいてほしい大切なこと〜
「英語と日本語どちらも話せる人なら、通訳もバイリンガル司会も同じでしょ?」
実はそれ、大きな誤解なんです!
■ 通訳者とは?
通訳者は、話し手の言葉を正確に訳すプロフェッショナルです。
そのためには、通訳専門学校などで専門のトレーニングを受け、政治・経済・医療など、さまざまな分野の専門用語や知識を習得する必要があります。
通訳者の使命は、話者の意図を「忠実に・正確に」伝えること。つまり、自分で表現や言い回しを工夫したり、場の雰囲気を見て臨機応変に対応することはさほど求められません。
■ バイリンガル司会者とは?
バイリンガル司会者の基本は「司会者」です。
披露宴や式典、イベントの進行を把握しながら、スタッフや演出チームとの連携を図り、全てのゲストが心地よく過ごせるよう、二言語を使ってその場を演出します。
たとえば:
●日英どちらのお客様にもわかりやすく、自然に進行する
●ユーモアや文化的背景を考慮した言葉選びができる
●その場の空気感を読み取り、臨機応変に自分の言葉で話す
というように、ただの「翻訳」ではなく、「言葉を通じて場をつくる」のがバイリンガル司会者の仕事です。
■ トレーニングもまったく違います
●通訳者:
通訳専門学校でトレーニング
専門知識と用語の習得
一語一句を忠実に訳す力が求められる
●バイリンガル司会者:
司会の基本トレーニングを重視
会場スタッフや演出との連携
状況判断や雰囲気づくり、そして自分の言葉で二言語を話すスキルが必要
英語が話せるだけでは務まらないのが、バイリンガル司会。“言葉”を通じて、“場”をつくるプロフェッショナルなのです。
したがって、「バイリンガル司会」とひとくちに言っても、司会スキルや英語力には大きな差があることにご注意ください。
■ ご依頼主の皆様へ
〜スピーチ通訳に関する大切なお願い〜
たとえ、バイリンガル司会者が同時通訳も可能な高い英語力を持っていたとしても、話者が当日何を話すのか事前に知らされていない状態での対応は大変リスクが高いのです。
特に、海外ゲストや登壇者のスピーチには以下のようなリスクがあります:
●訛りや地域特有の英語で聞き取りが難しい
●業界用語や固有名詞が突然登場する
●長時間の即興スピーチで構成がつかめない
こうしたリスクを避けるためにも、事前にスピーチ原稿(ドラフト)を司会者に共有していただくよう、登壇者へお伝えください。原稿があるだけで、よりスムーズで的確な通訳が可能になります。
■最後に
バイリンガル司会者は、「英語が話せる人」ではなく、「言葉で空間をつくるプロフェッショナル」です。通訳とは異なる専門職として、どうぞ正しくご理解いただければ幸いです。




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